大工仕事
見た目にも豪華絢爛なヘリンボーンフローリング。有名な建築物にも採用されている床。このヘリンボーン柄に組まれた床は、ヨーロッパでも長年愛されてきた床で、ルーブル美術館のモナリザノ前の床やベルサイユ宮殿など。日本国内でも有名な建築物に使われています。
西洋では「ニシンの背骨の形」に似ているところからヘリンボーンと言われており、日本では「杉の葉の形」に似ているところから杉綾(すぎあや)と言われ、古来より人気の高い柄模様です。
今回は、図面起こし~材料調達~加工~施工まで一から行いました。
レトロモダンな家具との相性もベストマッチですね。
床の端は”妻入り”で行っています。
床全体を右綾と左綾を交互に並べた杉綾(すぎあや)であるのに対し、フローリングの隅(端)は妻入りで施工しています。
妻入り(つまいり)とは、日本建築の用語で建物と直角の方向になる側を妻(つま)と呼び、妻側に入り組んでいることを意味します。神社の大社造、住吉造、大鳥造、春日造が妻入であり、住宅建築では寝殿造の対屋(たいのや)、書院造の主殿が妻入で見られることが多いようです。
視点角度によって変化する色合い。
この杉綾(ヘリンボーン柄)の床の特徴は、見る角度によって模様の色合いや艶が変化すること。それは正に木と木の組み合わさりだからこそ成せる質感であり、クッションフロアなどの建材では再現できない特徴です。
資材となる木は、サクラ。
昨年夏に岐阜の現地まで出向き、直接目で見て木材を調達してきました。
サクラ類の木材の特徴は褐色ないし赤褐色で、やや重硬な木材です。
耐久性が高く、加工しやすいこともあり、和風家具にも用いられることも多くあります。サクラの木材事態がもつ、和やかな風合いもヘリンボーン柄の床にぴったりです。
部材を一点一点、手で加工していきます。
切って、削って、溝付けて・・・数えて、積んで、梱包して・・・
と、床の部材となる組木を一点一点、手で加工していきます。これはさすがに気の遠くなる作業でしたが、一寸の狂いも許されません。自分が今、どの部材を加工しているのかを確かめながら黙々と作業に没頭していきます。
毎日少しずつ確実に加工作業を続け、部材が全て揃ったのが年明けでした。
いったん仮組を行います。
部材が揃ったので、事務所裏のガレージにて仮張りをして確かめて見ましたが予想以上の出来栄えに、しばしうっとりしてしまいました。これなら高級感溢れる住空間を演出できます。
目視で細かくチェックし、不良部分をチェックし手直ししていきます。
現地に施工できる下準備にかかります。
やっとここまでやってきましたが、まだまだ先は長い。というよりもここからが本番です。
実際に施工させて頂く現地の床の下準備にかかります。
着々と組みつけて行きます。
仮設置の時と同じようにヘリンボーン床の部材を組み付けて行きます。
表面を滑らかなに仕上げます。
組み付けが完了したら、ここからは表面を滑らかに仕上げるためにサンダー掛けを行って行きます
ついに最終工程です。
時期は4月。サンダー掛けが完了し、これで木工事も完了となります。ここからフロアコーティング作業に移り、それが終われば完成目前です。
完成まで約半年。
この案件は、大工として、自分への挑戦でした。
傍で見られている方には気の遠くなる作業かと思われるでしょうが、職人魂をくすぐられ、やり甲斐を感じてやみません。このようなお仕事にご用命頂けたこと、自分がそれに携わることが出来たこと、大変貴重なご依頼をくださり有難うございました。